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モノマテリアルの基本

はじめに、モノマテリアルとは何か、注目されている理由も含めて解説します。

モノマテリアルとは?

モノマテリアルとは、単一の素材で構成された製品や包装材を指します。一般的には、プラスチック製品や包装材がこの概念に該当します。対して、マルチマテリアルは複数の異なる素材を組み合わせて作られた製品を指します。例えば、ペットボトルのキャップと本体が異なる素材で作られている場合、マルチマテリアル製品にあたります。

モノマテリアル化とは?

モノマテリアル化とは、製品や包装材を単一の素材で作ることを指します。このプロセスは、製造から廃棄、そしてリサイクルまでの全ての段階において効率を向上させることが目的です。特に食品メーカーにおいては、包装材のモノマテリアル化が進んでいます。例えば、従来の複合材フィルムを単一のプラスチック素材に置き換えることで、リサイクルの効率を高める取り組みが行われています。

 

モノマテリアル化は、持続可能な社会を目指す上で重要な取り組みとされていると同時に、製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減し、資源を有効に活用することが求められています。これは、企業の社会的責任(CSR)とも深く関連しており、消費者からの信頼を築くためにも重要になってきます。

なぜ今モノマテリアルが注目されているのか|ヨーロッパでの取り組みもご紹介

近年、環境問題やリサイクルの重要性が高まる中で、モノマテリアルが注目されています。特にヨーロッパでは、厳しい環境規制が導入されており、企業は持続可能な製品設計を求められています。

 

例えば、欧州連合(EU)は2015年12月に2030年に向けた成長戦略として「サーキュラーエコノミーパッケージ」を導入し、リサイクル率の向上と廃棄物削減を目指しています。
また、スペインでは2023年1月に「使い捨てプラスチック容器税」が施行され、スウェーデンでは、プラスチック製品のリサイクル率を向上させるための法規制が強化されており、モノマテリアルの取り組みが進んでいます。このような背景から、世界規模でモノマテリアルの重要性が一層高まっています。

モノマテリアルのメリット

続いて、食品メーカーが知っておくべきモノマテリアルのメリットについて詳しく解説します。

環境への影響

モノマテリアルが環境に与えるメリットは多岐にわたります。まず、単一素材で構成されているため、分別が容易でリサイクルがしやすいという点が挙げられます。従来の複合素材は、異なる素材が混在しているため分別が困難で、リサイクル効率が低下しがちです。その結果、多くの廃棄物が埋め立て処理されています。しかし、モノマテリアルを使用することで、リサイクル率が向上し、廃棄物の減少に寄与します。

 

また、モノマテリアルは再生可能な素材を使用することが多く、環境への負荷をさらに低減することが可能です。例えば、バイオプラスチックなどの再生可能素材を使用することで、化石燃料の消費を抑え、CO2排出量を削減することができます。これにより、企業は環境に配慮した製品を提供することで、消費者からの信頼を得ることも期待できます。

リサイクル効率の向上

次に、リサイクルプロセスの効率化です。上述の通り、モノマテリアルを採用することで、複雑な工程を省略し、リサイクルの効率を大幅に向上させることができます。
また、モノマテリアルは品質の均一性が保たれやすいため、リサイクル後の製品の品質も安定しやすいという利点があり、リサイクル素材を使用した製品の市場価値が向上すれば、経済的なメリットも期待できます。

コスト削減への期待

モノマテリアルの導入は、長期的な視点で見るとコスト削減にもつながります。初期投資としては、モノマテリアルの開発や生産ラインの変更が必要となることがありますが、リサイクル効率の向上により、廃棄物処理コストが削減されるため、総合的なコスト削減が期待できます。

 

また、環境規制が厳しくなる中、モノマテリアルを採用することで、将来的な規制対応コストを抑えることができます。EUのようにプラスチック廃棄物の削減を目指す規制が強化されれば、企業はこれに対応するためのコストを負担しなければなりません。モノマテリアルを採用することで、こうした規制に迅速に対応し、追加コストを回避することが可能です。

 

さらに、消費者の環境意識が高まる中、持続可能な製品を提供する企業は市場競争力を高めることができます。環境に配慮した製品を選ぶ消費者が増える中で、モノマテリアルを採用することでブランドイメージの向上とともに、売上の増加も期待できるでしょう。

食品業界におけるモノマテリアルの活用事例

続いて、食品業界におけるモノマテリアルの活用事例をご紹介します。

ペットボトルのリサイクル

食品業界で最も身近なモノマテリアルの例として、ペットボトルのリサイクルが挙げられます。従来、ペットボトルは本体とラベルが異なる素材で作られることが多く、リサイクルの際に分別が必要でした。しかし、最近では本体とラベルが同じ素材で作られたモノマテリアルのペットボトルが登場しています。これにより、リサイクル工程が簡素化され、効率が大幅に向上しました。

 

例えば、コカ・コーラ社は「プラントボトル」という、一部に植物由来の素材を使用したペットボトルを開発し、リサイクルしやすい設計を採用しています。また、ラベルレスとして、同じ素材で表示部分も作られているため、リサイクルの際に分別の手間が省けます。これにより、リサイクル率が向上し、環境負荷の低減が期待されています。

モノマテリアルフィルム

次に、モノマテリアルフィルムの活用事例です。
ある大手食品メーカーは、スナック菓子の包装にモノマテリアルフィルムを採用しました。ポリエチレン(PE)素材で作られたフィルムを採用しており、従来の多層フィルムと比較してリサイクルが容易になったため、リサイクル率の向上と廃棄物削減に寄与しました。また、製品の鮮度保持や湿気防止といった基本的な機能も十分に果たしているため、消費者からもよい評価を得ているようです。

紙素材の包装

紙素材の包装もモノマテリアルの一例です。紙はリサイクルが容易で、環境に優しい素材として注目されており、食品業界では、プラスチックに代わる紙素材の包装の需要が増加しています。
あるスープ製品を製造している会社は、プラスチック包装を紙素材の包装に切り替えを行ったり、大手ファストフードチェーンやカフェチェーンでも紙ストローの開発・導入が進んでいます。

モノマテリアルを推進する上でのデメリット・課題

モノマテリアルを推進する上で、一番の課題は開発が難しいという点です。
単一素材を利用したモノマテリアル包材には、リサイクルのしやすさや、環境への配慮が大きなメリットになるため、検討している企業も多いかと思います。ただ、これまでさまざまな種類のフィルムを貼り合わせることでつくられてきたフィルム包材を、単一素材のフィルムだけで作ると性能が劣ってしまうこともあり、開発は容易ではありません。単一素材でありながら、従来と変わらぬ機能を持たせられるかどうかが非常に重要です。

まとめ

本コラムでは、モノマテリアルとは何か、世界で取り組まれている理由などを食品メーカーの方々に向けて解説しました。
丸信では、創業から50年以上のノウハウを活かし、包装資材の調達からパッケージの企画・提案、販促企画や広報支援、食品衛生や食品表示のサポートまで、幅広いソリューションでお客様のモノマテリアル化推進をサポートいたします。お困り事がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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