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食品包材の基本

まずは食品包材の基本を確認しておきましょう。

食品包材の重要性と役割

食品を販売する際に欠かせないのが包材です。包材には保護性、利便性、情報伝達などさまざまな役割があります。特に保護性については、食品という商品の特性上、高いものが求められます。包材の選択が消費者の健康に影響をもたらすためです。

 

また近年は、環境への配慮も求められています。世界的にプラスチック規制が進む中、海洋プラスチックごみ問題をはじめとした環境への負荷が問題になる中、脱プラスチックやリサイクル性の高い素材の選択が求められています。

 

食品包材は消費者の健康と環境に影響を及ぼす重要なものです。

食品包材の種類

食品包材には紙やプラスチック、金属、ガラスといったさまざまな種類があります。

 

紙は、液体紙パックや紙トレーなどに使用されています。

 

  • プラスチック

プラスチックを原材料とする包材には、ポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられます。冷凍食品から生鮮食品、飲料など幅広く使用されています。

 

  • 金属

鉄やアルミなどの金属缶は、缶詰や飲料缶などによく使用されています。

 

  • ガラス

ガラスは瓶飲料や佃煮などの容器に使われています。

 

これらの複数の種類から、まずは食品の安全を守り、美味しさも保てる素材の選定が求められます。

 

食品包材の安全性の考え方

食品包材は、先述の通り、食品安全に大きく関係しています。

包材からの有害物質の移行リスク

注意すべきなのは、包材からの有害物質の移行リスクです。特定のプラスチック包材には食品に移行するリスクのある有害物質が含まれることがあります。

 

例えば、BPA(ビスフェノールA)という化学物質が挙げられます。この物質はプラスチックの飲料ボトルや食品容器から溶け出し、食品に移行する可能性があり、人体への影響が懸念されています。

安全な包材を選ぶためのポイント

安全な包材を選ぶためには、食品衛生法のポジティブリストで使用が許されている素材を選ぶことが必要です。

 

食品衛生法では、合成樹脂製の食品器具や容器包装に関して、使用が認められている物質がポジティブリストとして規定されています。包材を選定する際には、認められている物質で作られている包材を選択することが大前提となるでしょう。

 

また今後、新たに有害性が発見される物質が出てくる可能性も考えられるため、常に最新情報に目を配り、随時対応することが求められます。

食品包材に関する規制

食品包材を選択し、使用する際には、主に次の法律・規制を遵守する必要があります。

食品衛生法

厚生労働省による食品衛生法では、食品容器包装についての規定が設けられており、清潔で衛生的でなければならないとしています。また有毒性のある物質が含まれていたり、付着して人の健康を損なう恐れのある容器包装は製造や使用などを禁止しています。

 

乳製品・レトルト食品・清涼飲料水などには特別な規定があります。また合成樹脂製の容器包装については規格が定められており、物質の使用限度値が記されています。他にガラス製、陶磁器製、ゴム製、金属缶などの規格もそれぞれに定められています。

食品表示法

食品の表示に関する法律で、「JAS法」「食品衛生法」「健康増進法」の3法の食品表示に関する規定を整理したものです。食品の種類や容器に応じて表示方法が変わるため、事前によく確認する必要があります。

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律

「容器包装リサイクル法」とも呼ばれる法律です。この法律では、商品を購入して使用した後の容器を消費者が分別排出し、市町村が分別収集し、容器の製造事業者や容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者が再商品化、つまりリサイクルを行うことで、容器包装の廃棄物の削減に取り組むことが義務付けられています。包材を選定する際には、廃棄やリサイクルのことも加味した選定が求められるでしょう。

食品の包材の未来とイノベーション

近年は、技術進歩による新しい包材が生まれています。例えば、このような包材が注目されています。

スマート包装(パッケージング)

スマート包装とは、テクノロジーを用いて付加価値を高めた包装全般を指します。RFIDやバーコード、QRコードなどを貼付して、情報を取得することでデータを活用してさまざまな用途に役立てます。主に賞味期限や鮮度、品質の情報を活用する在庫の最適化や、製造工程の記録を活用するトレーサビリティの実現などを目的に活用されています。活用用途は幅広いため、今後、新たなテクノロジーや既存のテクノロジーを組み合わせることによる活用方法の可能性が広がっています。

ナノテクノロジーを活用した包材

ナノテクノロジーを活用した包装も注目されています。「ナノ(10億分の1メートル)」単位の微細なスケールで包材の原材料を設計し、製造することで、より機能性や環境性能を高める試みです。原材料の原子や分子の配列をナノスケールで制御することで物性が変化するため、実現したい性質を持つ材料を作りやすくなります。

 

例えば、プラスチックにナノ物質を添加することで、ガスバリア性や強度向上、抗菌効果を出すことができるナノコンポジットという材料が開発されています。

 

 

これらの最先端の技術を用いた新しい包材は、より消費者や環境のニーズに応えられるイノベーションを生み出すことが期待できるでしょう。

食品包材の選び方のヒント

今後、食品を取り扱う企業は、包材をどのように選ぶべきでしょうか。そのヒントをご提案します。

法律や規制に則った選定

まずは法律や規制に定められた事項を遵守することが求められます。食品包装における包材の第一の役割は、食品の保護や安全性を確保することです。消費者の口に入るまでにいかに衛生性と安全性を保つことができるかが重要です。

食品の特性に合わせた選定

品質を維持するためには、包材の耐久性を確保することが必要ですが、それぞれの食品の特性によって選ぶべき素材や必要な耐久度も変わってきます。食品ごとの特性をよく理解した上で、その特性に合わせた選定が求められるでしょう。

環境性能とコストと保護性のバランスを重視した選定

近年は、環境性能は非常に重要であり、安全性の次に優先されるべき事項といっても過言ではありません。しかし環境に配慮した包材であっても、コストが高すぎたり、保護性が失われてしまったりすることは避けるべきです。安定的な供給も持続可能な包材を実現するために必要なことです。環境性能とコストと保護性のバランスを重視した選定を心がけましょう。

利便性やデザイン性を加味した選定

必要な項目を押さえた上で、ユーザー目線の利便性やデザイン性を追求しましょう。そのためには形状変更の柔軟性や触感、素材がもたらすイメージなどのほか、ブランディングも検討しながら理想的な包材を選定し、商品に最適な包装を制作しましょう。

まとめ

主に食品包材の安全性と規制に関する観点からの食品包材の選び方をご紹介しました。食品包装の分野において、包材選びの際にはさまざまな確認事項があります。ぜひこの機会に、包材選びを見直し、新たな知見を持って理想的な食品包装を実現してください。

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