包材デザインの基本
包材デザインとは、主に商品のパッケージデザインのことを指します。包材およびパッケージには箱や袋などさまざまな形状があり、そに施すラベルやシールなどの外装・内装すべてを指しています。包材デザインは次のような基本要素があります。
包材デザインの基本要素
- 色
包材全体やラベルなどの色要素は包材の印象を決める重要な要素です。包材全体の色、ロゴ、テキスト、写真、イラストなどのあらゆる色使いはブランディングにも直結します。 - 形状
形状は、製品の用途や目的に応じて変わってきます。箱、袋、トレーなどの他、商品に合わせてカスタマイズするなど、柔軟に対応することが求められます。保護性や見た目はもちろん、利用者の使い勝手も左右します。 - テキスト
ロゴや商品説明のテキスト量やフォント、フォントサイズなどテキスト要素は直接、意味を消費者や利用者に伝える重要な要素です。 - グラフィックス
写真やイラストなどのグラフィックスは直感的に消費者や利用者に訴えることのできる重要な要素です。ブランディングにも大きく寄与します。 - 素材・材質
包材の素材や材質もデザイン要素の一つとしてとらえることができます。特に素材を触った感触は重要です。売り場で手に取ったときに「買いたい」「使ってみたい」と思わせる要素を取り入れる工夫もできるでしょう。
デザインが消費者の購買行動に与える影響
パッケージとしての役割を果たす包材は、売り場で重要な役割を果たします。消費者の購買行動を左右するためです。例えば、スーパーマーケットで食品を販売する際には、美味しさとお得さを両立させたパッケージにすることで手に取ってもらいやすくなります。デザインは消費者の行動を大いに変えるのです。
包材デザインがブランディングに対して果たす役割
包材デザインは、ブランディングに直結します。その理由や果たす役割について押さえておきましょう。
ブランディングとは?
ブランディングとは、顧客が商品・サービス、および企業などを選定し、購買行動を起こす理由・動機となり得る、イメージやストーリーを顧客の中に作り上げることを意味します。ブランドイメージは顧客の中に顧客自らが根付かせ、定着させるものですが、そのためには企業側の発信が必要になります。
絶えず、統一されたブランドコンセプトやイメージを発信し、確固たるゆるぎない存在であることを知らしめます。それをブランド戦略を持って行う取り組みをブランディングと呼んでいます。
ブランディングの最終目的は、顧客に競合他社や競合他社の商品よりも自社や自社商品を選んでもらうことです。
包材デザインがブランディングに対して果たす役割
商品の包材デザインは、ブランディングに大きな役割を果たします。
その理由として、パッケージは商品の特徴や価値をわかりやすく、視覚的に伝えられるということが挙げられます。例えばブランドのロゴをパッケージに施す場合に、そのロゴのフォントや色、大きさ、形状などさまざまな要素で消費者にブランドという価値や信頼性を認識させることができます。
また、同時に競合他社との差別化を図ることも可能です。パッケージにはブランドの世界観を統一的に施すことで競合商品よりも際立たせることができ、差別化できます。イメージだけでなく、よりわかりやすく商品の魅力を伝えられるという観点からも、優位になるでしょう。
包材デザインでブランディングするポイント
包材のデザインでブランディングをする際のポイントをご紹介します。
ブランドのアイデンティティを明確化
包材に印字するロゴやカラー、フォントなどのデザイン要素は、一貫性を持たせることでブランドの認知度を高めることができるため、ブランディングには重要となります。一貫性のある包材デザインは顧客が一目で製品を認識でき、信頼感にもつながります。
ターゲットの明確化
ターゲットは、年代や性別以外にも、嗜好や興味関心など細かく設定することで、ターゲットをより絞り込んだブランディングが可能となります。絞り込むことで、ターゲットとなる顧客はデザインや包材、商品そのものにより興味を持つ可能性が高くなります。
機能性と実用性
機能性と実用性のある包材デザインもブランディングには重要です。開封しやすさや保管のしやすさなど、ユーザーエクスペリエンスを考慮したデザイン設計にすることで、顧客満足度が向上しブランディングにつながります。
トレンドの反映
最新のトレンドを意識した包材デザインを取り入れることで、先進性をアピールしたブランディングも可能です。ただし、最新トレンドを意識しすぎて、ブランドの本質を損なわないように注意する必要があります。
包材デザインのトレンド
包材デザインには現在、次のようなトレンドがあります。
環境に配慮した設計
脱プラスチック、ごみの削減、リサイクル推進などの環境配慮の観点から、持続可能なパッケージが求められる昨今、包材デザインの取り組みにおいても環境を配慮した設計という視点が重要になっています。自然に還る素材やリサイクルしやすい素材の選択が、時代が求める包材づくりにも寄与するでしょう。
パーソナライズ
消費者ニーズが多様化する中、いかに企業はそれらのニーズに対応していくかが問われています。そこで包材デザインもパーソナライズされたものが注目されています。
例えば一つのペットボトル飲料製品に、複数のラベルを施したパッケージを採用した事例があります。ある大手飲料メーカーは、期間限定で250種類以上もの名前をボトルラベルにデザインしたキャンペーンを実施しました。消費者は自分の名前のボトルを探したことでしょう。
テクノロジーの活用
「スマート包装」というキーワードがトレンドになっています。RFIDやQRコードをパッケージに施すことで付加価値をつける手法です。センサーによりデータを収集することで在庫の適正化や鮮度管理、トレーサビリティを実現します。消費者に対しても商品の情報をリアルタイムで提供し、原材料や栄養情報、製造工程などを可視化することで、安心感を与えます。
今後も、さらにスマートで個々人が使いやすく、環境に配慮された包材デザインが求められていくでしょう。
包材デザインのステップ
包材デザインプロジェクトの開始する際に、どのようなステップで進めていくことができるのでしょうか。一般的な手順をご紹介します。
- ターゲットの分析・ニーズの調査
- 市場調査・競合分析
- コンセプト開発
- デザインの設計
- プロトタイプの作成とテスト
- 生産
- 包材適用と評価
まずは自社商品のターゲットとなる層のニーズの調査および分析を行い、ターゲットと目的を明確にします。その後、戦場となる環境を知るべく市場状況や競合他社をリサーチします。それらの情報を踏まえて包材デザインのコンセプトを定め、具体的に設計していきます。
プロトタイプを作り、試作しながら吟味を重ね、いよいよ実装していきます。消費者からの評価・市場の反応を加味して改善を重ねていきます。
最も重要なのは、ターゲットに合わせたコンセプトをデザインプロジェクト全体において一貫して行うことにあります。
包材デザインのコストとROI(投資収益率)の考え方
包材デザインにおいては、ROI(投資収益率)を検討しなければなりません。包材デザインを構成するコストは、デザイナーの採用・雇用に関するコスト、素材調達コスト、印刷コストなどが挙げられます。
デザイン投資のROI(投資収益率)の測定方法
ROI(投資収益率)とは、投資したコストに対して、どのような利益や付加価値が得られるかを意味します。包材デザインによってどのような利益や付加価値が得られるのかを測定することが重要です。
包材デザインのROIの指標の例として、売上増加額、ブランド価値向上を測る数値、生産性向上を測る数値が挙げられます。
ROIを高めるためには、材料や製作費などのコスト削減と品質維持のバランスを考えることが重要です。
包材デザイン成功のためのヒントとコツ
包材デザインを成功させるためには、さまざまな配慮が求められますが、ポイントを押さえることで成功に近づきやすくなるでしょう。
最適なデザイナーを選ぶ
成功のポイントの一つは、最適なデザイナーを選ぶことです。デザインはデザイナーの個性や経験、技術によって大きく変わってきます。そのため、商品立案したコンセプトと合致しなければ、より良い成果を出すことができません。
数値指標を定めて取り組む
ブランディングや売上向上、ROI向上といった包材デザインの成果を出すには、数値目標を
ブランディング戦略としての包材デザインを実施する
ブランディングを重視している場合は、ブランディング戦略として包材デザインプロジェクトを進めましょう。包材に求められる一つ一つの要素において、ブランディングのための設計を行うことが重要です。
まとめ
包材デザインは、追求すればどこまでも追求することができる奥深い取り組みです。売り場でひときわ目立つパッケージを実現し、ブランディングや環境配慮などの目的も果たすことができる包材デザインは、こだわることで実現可能です。
包材デザインに関してお困りのことがありましたら、ぜひ丸信にご相談ください。