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バイオマス包装資材とは?

はじめに、バイオマス包装資材とは何かを解説していきます。

バイオマスとは

バイオマスとは、生物由来の有機物を指します。具体的には、植物、動物、微生物などから得られる有機物全般が含まれ、これらの有機物は、太陽光を利用して光合成を行う植物が基盤となっており、地球上の生態系全体に広がっています。
近年では、木材、農作物の残渣、動物の排泄物などがバイオマス資源として注目されており、これらの資源は、燃焼や発酵、化学変換などのプロセスを経てエネルギーを生成します。

バイオマスが注目される理由

1. 再生可能

バイオマスは再生可能な資源として注目されています。植物が成長し続け、動物が繁殖し続ければ、持続的にエネルギー資源を供給することが可能になるからです。

 

2. カーボンニュートラル

バイオマスを燃焼する際に発生する二酸化炭素(CO2)は、植物が成長する過程で吸収したCO2と等量であるため、理論上は大気中のCO2濃度に影響を与えません。これを「カーボンニュートラル」と呼び、世界中で注目されています。

 

3. 廃棄物の有効利用

バイオマスは、農業や林業、食品産業などで発生する廃棄物を有効利用する手段としても注目されています。これにより廃棄物の減少とエネルギー生産の同時達成が期待されます。

バイオマス素材を使用した包装資材の特徴

バイオマス包装資材の最大の特徴は、環境への優しさです。上述の通り、バイオマス素材は再生可能であり、持続可能な資源管理が可能です。例えば、トウモロコシやサトウキビから作られるバイオプラスチックは、成長過程で二酸化炭素を吸収するため、カーボンフットプリントが低くなります。また、これらの素材は生分解性があり、廃棄後に自然界で分解されやすいという利点があるため、持続可能な社会の実現への貢献が期待されています。

 

一方で、一般的なプラスチック包装資材は植物由来ではなく、石油を原料として製造されます。そのため、石油資源の枯渇や二酸化炭素の排出量増加といった問題が懸念されており、さらに石油由来のプラスチックは分解されにくく、環境中に長期間残留するため、海洋汚染や生態系への悪影響が指摘されています。

バイオマス包装資材の種類と特徴

続いて、バイオマス包装資材の種類とそれぞれの特徴について解説していきます。

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックは、前述した通りトウモロコシやサトウキビなどの植物を原料として作られるプラスチックです。従来の石油由来のプラスチックと比べて、製造過程での二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷が低いのが特徴です。バイオマスプラスチックは、食品包装、レジ袋、ボトル、緩衝材など、さまざまな用途で使用されています。
また、バイオマスプラスチックの中には、生分解性を持つものがあります。
生分解性プラスチックは、自然環境下で微生物によって分解されるため、廃棄後の環境への影響を最小限に抑えることができます。最近では、リサイクル性の高いバイオマスプラスチックも存在し、再利用が可能なため、資源の有効活用と廃棄物の削減が期待されます。

バイオマス紙

紙は木材パルプや植物繊維などの再生可能な原料を使用しているため、バイオマス製品の一種となります。再生可能な資源から作られているため、持続可能な素材として評価されており、食品包装、ショッピングバッグ、ティッシュペーパーなど、幅広い用途で使用されています。
製造過程でのエネルギー消費量が少ないことはもちろん、バイオマス紙はリサイクルが容易であり、廃棄物の削減にも寄与します。

その他のバイオマス素材

バイオマス包装資材には、バイオマスフィルムやバイオマス繊維なども含まれます。バイオマスフィルムは、植物由来の原料を使用して製造される薄膜状の素材で、食品包装や農業用フィルムなどに利用されています。従来のプラスチックフィルムと同等の耐久性や防湿性などがありつつ、環境への負荷を軽減することができます。
それ以外にも、バイオマスフィルムの利点として、軽量でありながら高い強度をもち、また、透明性が高く、内容物を確認しやすいという特徴もあります。

 

バイオマス繊維は、植物繊維を原料として製造される繊維素材です。衣料品やインテリア製品、産業用資材など、さまざまな用途で使用されています。生分解性を持つものが多く、使用後も環境に優しい素材として評価されています。
また、バイオマス繊維は、吸湿性や通気性に優れており、衣類であれば快適な着心地を提供します。さらに、抗菌性や防臭性を兼ね備えているものもあり、衛生面でも優れた性能を発揮します。

バイオマス包装資材を食品パッケージに導入するメリット

ここで、バイオマス包装資材を食品パッケージに導入するメリットについてまとめて解説します。

環境への配慮

●CO2排出削減効果

バイオマス包装資材は、再生可能な有機資源を原料としています。これにより、従来の石油由来のプラスチックと比較して、製造過程でのCO2排出量を大幅に削減することができます。例えば、バイオポリエチレンやバイオポリプロピレンといったバイオマスプラスチックは、製造時に植物が吸収したCO2を再利用するため、カーボンニュートラルに近い状態を実現し、地球温暖化の抑制への貢献が期待されます。

 

●廃棄物問題の軽減

バイオマス包装資材は生分解性が高く、自然環境中で分解されやすい特性を持っています。これにより、従来のプラスチックゴミが引き起こす廃棄物問題を大幅に軽減することが可能です。特に食品パッケージは、使用後に廃棄されることが多いため、導入することで環境への負荷を減らすことが期待できます。

コスト削減

●長期的なコストメリット

バイオマス包装資材は初期導入コストが高いことが多いですが、長期的に見ればコスト削減効果が期待できます。今後、バイオマス資材の需要が増加することで、製造コストが低下し、安定供給が可能となっていくことも予想され、また、環境規制の強化に伴い、従来のプラスチックに対する税制や罰則が厳しくなる可能性があるため、早期にバイオマス包装資材を導入することで、将来的なコストリスクを回避することが期待できます。

 

●リサイクルコストの削減

バイオマス包装資材はリサイクルが容易であるため、廃棄物処理コストの削減にも寄与します。特に、自治体や企業がリサイクルプログラムを導入している場合、バイオマス資材の使用はリサイクルプロセスを簡素化し、コスト効率を高めることができます。

ブランドイメージの向上

●環境意識の高い消費者へのアピール

環境問題への関心が高まる中で、消費者は持続可能な製品を選ぶ傾向が強まっています。バイオマス包装資材を使用することで、企業は環境意識の高い消費者に対してアピールができるだけでなく、製品の差別化と競争力を高めるための有効な手段にもなります。

 

●CSR(企業の社会的責任)活動の一環として

バイオマス包装資材の導入は、企業のCSR(企業の社会的責任)活動の一環としても重要です。環境保護に貢献する姿勢を示すことで、企業の信頼性や社会的評価が向上します。これにより、投資家やパートナー企業からの評価も高まり、ビジネスチャンスの拡大にもつながるでしょう。

バイオマス包装資材を食品パッケージに導入する際のポイント

最後に、食品パッケージにおいてバイオマス包装資材を導入する際の重要なポイントについて詳しく説明します。

適切な素材の選定

1.用途に応じた素材の選び方

食品パッケージに使用するバイオマス包装資材は、その用途に応じて適切な素材を選定することが大切です。例えば、湿気に弱い食品には水分バリア性の高い素材が必要ですし、冷凍食品には低温でも劣化しない素材が求められます。それぞれの用途にあった適切な素材選びに注意しましょう。

 

2.性能とコストのバランス

バイオマス包装資材の選定においては、性能とコストのバランスも重要な要素です。一般的に、バイオマス素材は従来の石油由来のプラスチックに比べてコストが高くなる傾向があります。しかし、環境への配慮や企業の社会的責任(CSR)の観点から、長期的な視点で見れば、バイオマス素材の導入は企業イメージの向上や消費者の支持を得ることにつながります。性能とコストのバランスを考慮しつつ、最適な素材を選定することが求められます。

供給チェーンの確立

1.安定供給のためのサプライヤー選定

バイオマス包装資材の安定供給を確保するためには、信頼性の高いサプライヤーを選定することが重要です。サプライヤーの選定に際しては、品質管理体制や供給能力、価格の競争力などを総合的に評価する必要があります。また、複数のサプライヤーと契約を結ぶことで、供給リスクを分散させることも検討しておきましょう。安定した供給チェーンを確立することで、製品の品質を維持しつつ、効率的な生産が可能となります。

 

2.物流と在庫管理

バイオマス包装資材の導入に伴い、物流と在庫管理の体制も見直す必要があります。バイオマス素材は温度や湿度に敏感なものが多いため、適切な保管条件を整えることが求められます。また、在庫管理においては、需要予測に基づいた適正な在庫量の確保が重要です。過剰在庫はコスト増につながり、不足在庫は生産の遅延を招くため、バランスの取れた在庫管理が求められます。

法規制と認証の確認

1.国内外の法規制

バイオマス包装資材を導入する際には、国内外の法規制の遵守に注意しましょう。
日本国内では、食品衛生法や容器包装リサイクル法などが関連します。特に食品に直接触れる包装資材に関しては、厳しい基準が設けられているため、法規制に適合した素材を選定することが求められます。また、輸出を考慮する場合には、輸出先国の法規制も確認する必要があります。各国の規制をクリアすることで、グローバルな市場展開が可能となります。

 

2.エコマークやその他の認証

バイオマス包装資材の環境性能を証明するためには、エコマークやその他の認証を取得することが有効です。エコマークは、日本環境協会が認定する環境ラベルで、環境に配慮した製品であることを証明します。また、国際的な認証としては、FSC(森林管理協議会)やPEFC(森林認証プログラム)などがあります。これらの認証を取得することで、消費者に対して環境への取り組みをアピールすることができ、企業の信頼性を高めることができます。

まとめ

本コラムでは、バイオマス包装資材の概要から導入する際のポイントまでご紹介しました。
丸信では、創業から50年以上のノウハウを活かし、包装資材の調達からパッケージの企画・提案、販促企画や広報支援、食品衛生や食品表示のサポートまで、幅広いソリューションでお客様の軟包材・包装フィルムの課題を解決いたします。お困り事がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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